ご覧いただき、ありがとうございます。行政書士・特定社会保険労務士の佐藤 安弘です。
細かい知識ではなくざっくりとしたご案内となりますのでご容赦ください。
☑退職・解雇・雇止め…似ている言葉の相違点がわかる!
☑解雇(普通解雇・整理解雇・懲戒解雇)の有効性を判断するための要件や根拠がわかる!
☑雇止めの有効性を判断するための要件や根拠がわかる!
・ 退職とは、雇用関係が終了することをいいます。
・解雇とは、契約期間の途中で、会社側の一方的な意思表示で退職させることをいいます。意思表示の主体は会社です。
・雇止めとは、有期契約期間の終期到来をもって、退職させること、次回の契約更新を行わないことをいいます。労働者が契約期間満了をもって退職することを雇止めとは言いませんので、意思表示の主体は会社です。
・退職勧奨とは、解雇や雇止めに依らずに、労働者に自主的に退職する意思を引き出させるための意思表示です。退職勧奨も会社側の働きかけですが、上記2つと決定的に違うのは、労働者に諾否が委ねられている点です。
解雇は3種類に分かれます
①普通解雇
②整理解雇
③懲戒解雇(懲戒処分としての解雇)
まず、①普通解雇について説明します。
(1)労働基準法20条で解雇をする場合には30日前の予告または30日分の解雇予告手当が必要です。労基法20条は、解雇をする場合の手続きを使用者に義務付ける規定ですので、この規定に反した場合は労働基準監督署からの是正指導や(レアケースですが)逮捕→送検→起訴→有罪となる場合があります。
(2)上記(1)の手続き義務を履行したとしても、解雇が有効になるとは限りません。なぜならば労働契約法第16条では、『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。』
と規定されており、客観的に合理的な理由(就業規則該当性や当該理由が客観的に認識できること等)及び社会通念上相当性(解雇回避努力、労働者の勤務態度等)が要求されています。なお、これら客観的合理的理由や社会通念上相当性があったか否かは行政機関ではなく、最終的に司法の場で判断されることとなります。
解雇が有効であることの立証責任は会社が負います。ここら辺が解雇が難しいとされる理由ですね。
また、有期雇用者に対して契約期間中に解雇し、その解雇を有効とするには『やむを得ない事由』が必要です。根拠は労働契約法第17条第1項。これは『わざわざ、契約期間を定めて雇用したのだから、守ってね』という当然な考えからくるものです。
やむを得ない事由についての立証責任は会社が負います。また、普通解雇よりも厳格に判断されます。
普通解雇の対象者 | 労基法20条に定める手続き義務 | 求められるハードル | 難易度 |
無期雇用労働者(正社員・無期パート) | あり(試用期間14日以内の労働者等は不要) あり | 客観的合理的理由・社会通念上相当性 | 難しい |
有期雇用労働者 | やむを得ない事由 | さらに難しい |
次に②整理解雇についての説明です。
経済全体が不況下になるとどっと増えるのが、この整理解雇となります。
整理解雇の場合、会社の人件費削減の必要性から実行されることとなり、普通解雇の場合、客観的合理的理由・社会通念上相当性が問われましたが、整理解雇の場合、整理解雇有効とするために要素が4つあります。※整理解雇の4要素と呼ばれます
・要素①人員削減を行う経営上の必要性
→大規模な売上の減少、経営の悪化
・要素②十分な解雇回避努力を尽くしたか
→配置転換や、有期雇用労働者の雇止め措置の有無、企業全体で役員報酬や賞与のカット等をしているか、新規採用の停止、整理解雇前に希望退職者募集措置を実施したか等々
・要素③被解雇者選定の合理性
→勤務成績や能力、年齢、再就職が比較的容易な者であるか否か、扶養家族の有無等々
・要素④手続きの妥当性
→突如肩をたたくのではなく、労働組合や従業員との協議・交渉について、どのくらいの期間、どのくらいの回数を設け、合意形成を目指したか等々
昔は、整理解雇の4要件と呼ばれていて、1つでも欠けると解雇無効(=必要条件を満たしていない)となっていたのですが、近時は4要素とされていて、4つの要素を総合的に判断しています。
また、整理解雇の場合でも、普通解雇同様に労基法20条の手続き義務は一緒です(30日前予告または30日分の解雇予告手当)。
整理解雇の対象者ですが、通常は無期雇用者が対象です。
後述しますが、有期雇用者の場合、整理解雇を選ばず、雇止めを選択すれば済む場合が多いからです。
次が③懲戒解雇についてです。
懲戒解雇とは就業規則所定の懲戒事由に該当し、労働者の責に帰すべき重大な事由により解雇されることです。横領や窃盗等の刑事事件を起こした場合や、重大な経歴詐称が発覚した場合等々が挙げられます。
懲戒解雇は非常に重大な処分のため、懲罰委員会や事実確認など適正な手続きを欠いてはいけません。〇〇解雇と名がつく案件は基本的に困難ですが、とりわけ一番困難なものが懲戒解雇です。
懲戒解雇と普通解雇は以下の点で異なります
①懲戒解雇の場合、労基署の解雇予告除外認定が出れば解雇予告手当及び30日前予告不要です
②懲戒解雇の場合、雇用保険の離職証明書に重責解雇と記載され、ハローワークがそれを認定すれば自己都合となり、90日の給付制限、所定給付日数の減少となります。
③退職金のある会社の場合、懲戒解雇の場合、退職金の全部または一部を不支給とする取扱いを設けています。
会社が懲戒解雇と主張しても労基署や、ハローワークの判断は異なる場合があります。また、行政機関が懲戒解雇(重責解雇)有効と判断しても、裁判所(司法)の判断は異なる場合もあります。
実務上も懲戒解雇事案は慎重に臨むべきであり、懲戒解雇処分の前置として諭旨退職処分や退職勧奨等がありますので、事案に応じて訴訟リスクを考慮すべきと思います。
解雇→原則無効・例外有効、有効とすることは難しい
解雇カテゴリーの次は雇止めについてです。
雇止めは有期雇用者限定の問題です。無期雇用の方を雇止めすることはできません。
法学上、契約自由の原則という概念があり、契約をするしない、契約の内容は原則として当事者の自由です。
例えば4/1~6/30と契約期間を定めたら、原則として6/30に契約は終了です。7/1以降も契約の更新が発生するのは両当事者が合意した場合(契約内容に自動更新条項がある場合等)に限ります。
労働契約にあっては、両当事者が合意した場合以外にも以下のような例外があります。
労働契約法第19条
1号 実質無期型
※業務内容が恒常的、同様の立場の労働者の雇止めがほとんどない、更新手続きが形式化している等
2号 期待保護型
※採用時に『うちは雇止めしないから』や『長く働いてもらう』等の言動、更新手続きが形式化、複数回更新している等
に該当すれば有期契約労働者であっても雇止め(更新拒絶)を有効にするには客観的合理的理由・社会通念上相当性が必要です。
立証責任は以下のように分けられます
①労契法第19条1号・実質無期型若しくは2号・期待保護型に該当すること→労働者
②上記①が証明された後、雇止めに客観的合理的理由・社会通念上相当性があること→会社
会社としては、更新手続きについては厳格にしておくべきでしょう。また、契約条項に最大〇年や、次回は更新しない旨の記載等があれば、なおよしですね。
雇止めは解雇と異なり、30日前の予告や、30日分の手当の支給は法律上義務付けられていません。
ただし、雇止め基準というものが厚生労働省から公表されており、この基準に基づき助言・指導を受ける場合があります。
雇止め→原則有効・例外無効、例外に当てはまることの立証責任は労働者
最後が、退職勧奨です。
退職勧奨は、解雇が難しいことから実務上もっとも用いられる手法です。
解雇や雇止めと異なり、労働者と会社が合意して退職に導くための会社からの最初のアプローチです。
退職勧奨の対象者は無期契約労働者であることが一般的です※残存している契約期間の長い方も対象となり得ます。
退職勧奨は退職の意思を労働者から引き出すための勧奨行為ですから、労働者が勧奨を受け入れて退職することも、退職せずに続けることも可能です。どこかに長期間閉じ込めたり、威圧的な態度で臨んだり、条件を変えずに何度も勧奨し、退職の意思表示をさせる行為は不法行為になる可能性があります。
退職勧奨で話される主要な論点は以下の通りです
・解決金額、支払時期、支払方法
・雇用保険離職区分の取扱い
・返却物等の雑則
・清算条項
・秘密保持義務
・合意書の交付
等
退職難易度
退職勧奨<<雇止め<<<普通解雇=<<整理解雇<<<<<<懲戒解雇
☑退職、解雇、雇止め等の言葉の微妙なニュアンスがわかった!
☑解雇カテゴリー内のそれぞれの違いがわかった!
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☑トラブルになる前に専門家へ聞いたほうがいいかもしれないと思った!
②【面談】
・ご指定の場所で打合せ(遠方の場合は旅費・交通費を請求いたします)
④【規程類・提案書類の作成・打合せ】
・ご依頼後、ご入金確認後に、規程類等の作成事務を行います。
・時期や案件にもよりますが、時間がかかる場合があります。
⑤【受託業務完了のご報告】
・残金があれば、残金のお支払いをお願いいたします
・顧問先以外でも軽微な問合せ等であれば、多少のフォローは可能です
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ワイエス行政書士・社会保険労務士事務所
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佐藤 安弘
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